子宮頸がん

子宮頸がんとは

子宮頸がんとは子宮頸がんは子宮の入口(頚部)に発生するがんです。
子宮頸がんは、早期発見ができれば比較的予後のよいがんです。一方で進行すると、治療が困難になります。子宮頸がん検診などで、早期に発見することが非常に重要になります。
また、予防法としては子宮頸がんワクチンがあります。

子宮頸がんの症状チェック

子宮頸がんの症状チェック

  • 月経時以外の不正出血
  • 性交時の出血
  • おりものの異常
  • 下腹部の痛み

症状として上記のようなものが挙げられますが、特に初期に無症状であるケースも少なくありません。1つでも当てはまるときには、お早目に当院にご相談ください。

子宮頸がんが進行したときのおりもの

子宮頸がんが進行すると、茶褐色の膿のようなおりもの、水っぽいおりもの、粘液の多いおりものなどが見られます。
また、おりもののにおいが強くなることもあります。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染を原因として発生します。 ただ、ヒトパピローマウイルスの感染自体は珍しいものではありません。性交を一度でも経験された方であれば感染している可能性があります。感染した場合も、ほとんどのケースで免疫によってウイルスは排除されますが、約10%の割合で感染が持続し、さらにその一部が前がん病変、子宮頸がんへと進行します。

子宮頸がんになりやすい人はどんな人?

子宮頸がんは、一度でも性交の経験がある女性であれば、誰にでも起こり得る病気です。
年齢層別では、20代後半から30代頃が多くなります。近年は、若い方のあいだでの発症が増えています。

検診・検査の方法

検査から診断まで

子宮の入口を綿棒などで擦り、採取した細胞を、顕微鏡で観察するスクリーニング検査を行います。これを、子宮頸部細胞診と言います。
細胞診の結果、異形成やがんが疑われる場合は、拡大鏡で観察しながら組織を採取し、病理検査にかけます。これにより、異形成、がんの診断を行います。
子宮頸がんと診断された場合には、内診・CT・MRI・PETなどによって周囲の組織への拡大、リンパ節・他臓器への転移の有無を調べ、ステージが決定されます。

子宮頸がん検診

子宮頸がん検診では、子宮の入口を綿棒などで擦って採取した細胞を、顕微鏡で観察します。つまり、「検査から診断まで」に記載した子宮頸部細胞診を行います。
子宮がん検診は、症状がない方が受ける検査です。20歳を過ぎたら、2年に1回は子宮頸がん検診を受けましょう。

子宮頸がんの5年生存率

病期(ステージ)ごとの状態、また5年生存率をご紹介します。少しでも早い段階で発見し、適切な治療につなげることが大切です。

Ⅰ期

5年生存率は、92.1%です。

Ⅱ期

5年生存率は、74.2%です。

Ⅲ期

5年生存率は、52%です。

Ⅳ期

5年生存率は、29.8%です。

※日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会参照

子宮頸がんにおけるステージ別の治療方法

治療方法は、ステージだけでなく、患者様の年齢、将来的な妊娠の希望の有無、持病の有無・種類などによって決定されます。 医師とよく話し合い、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。

進行期1A1期:子宮頸部円錐切除術(又は単純子宮全摘術)

主に、将来的な妊娠・出産を希望している場合に、子宮を温存するための手術です。
子宮を温存することで妊娠・出産が可能になりますが、子宮頸部が短くなることで早産のリスクが高くなる、妊娠しにくくなるといった可能性があります。

進行期1A2期~2B:広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘出術リンパ±節郭清±放射線、抗がん剤

子宮、膣の一部、卵巣、子宮付近の組織・リンパ節を摘出する手術です。卵巣については、温存が可能であることもあります。
将来的な妊娠を希望する場合には、子宮頸部およびその周辺のみを切除する一方で、子宮体部を温存することもあります(広汎子宮頸部切除術)。
手術に加えて放射線療法、放射線療法+抗がん剤の点滴も行うことがあります。放射線療法の副作用(胃腸障害・下痢・皮膚炎・腸閉塞など)、抗がん剤の副作用(吐き気・血液毒性・腎毒性)などを十分に考慮しなくてはなりません。

進行期3期~4期、再発時:放射線、抗がん剤

がんが骨盤内や膣など広範囲に拡大している、膀胱・直腸に進展している、肺・肝臓に転移している場合には、一般に手術は選択されません。
患者様の全身状態、年齢、体力などを考慮し、放射線療法を単独で行ったり、放射線療法+化学療法を行ったりすることになります。
また、子宮頸がんが再発した場合にも上記のような放射線療法・化学療法を行います。ただ、孤立性のものであれば手術を選択することもあります。

子宮頸がん(HPV)ワクチン接種で予防を

子宮頸がん(HPV)ワクチン接種で予防を子宮頸がんワクチンは、その接種によって、子宮頸がんの原因の70%を占めるヒトパピローマウイルス16型・18型に対する抗体を、94%の症例でつくることが分かっています。
また、海外の調査では、子宮頸がんワクチンに子宮頸がんそのものを予防する効果があることが報告されています。
国内でも2013年から定期接種化されており、小学校6年生から16歳までの女性は無料で接種が受けられます。加えて、1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性も、2022年4月~2025年3月までの3年間、公費によって無料で接種が受けられます。